【大渓山 釈王寺】
 大渓山 釈王寺(しゃくおうじ)は香川県東かがわ市大谷に残る古刹です。 宗派は真言宗善通寺派 本尊は木造聖観音立像(秘仏、国の重要文化財=彫刻)明治34年3月27日(1901)指定
 寺伝によれば奈良時代の神亀二年(725)に行基が建立し、その後、平安時代初期の延暦二十二年(803)に空海が寺院を整備したと伝わる。
 戦国時代の天正十一年(1583)には兵火により伽藍が焼失、江戸時代中期の享保十八年(1733)になって堂宇が再興された。
 国の重要文化財の本尊・聖観音像は現在、本堂後部にある蔵庫に収蔵され、本堂には前立として大日如来が安置されている。
 文はWikipediaなどから転載しました。

 ===釈王寺の民話===

 <><>釈王寺の閻魔堂
 丹生(現東かがわ市丹生)の大谷北岡に、真言宗大渓山延命寺「釈王寺(しゃくおうじ)」という名刹があります。このお寺の境内の本堂東側に、エンマ大王やその隋官を祀るエンマ堂が建っています。
 このエンマ堂は、約100年前(昭和37年4月当時)ぐらいの江戸時代に建てられたものですが、エンマ堂にまつわる話が残っています。
 当時、良源という住職がおりました。境内にエンマ堂を建てようと、お金を家々から集めました。ところが、檀家の一人である「平造」という人から、良源さんが苦労して集めたエンマ堂の建設資金を暫くの間貸してくれと頼みこまれました。住職は平造を信用して証文もとらずに快く貸してやりました。しかし平造は、何時まで待ってもお金を返そうとしませんので、良源さんは困ってしまいました。
 ある夜の事でした。平造の枕元にエンマ大王が現れ、「これ平造、人間の世界の大罪は嘘をいう事である。嘘は全ての犯罪の源でだ。特に仏様を守り、人の道を説く僧のお堂建築資金を騙し取る罪は非常に重い、死ねば地獄の底に落ちるやつだが、生きている間二度と嘘のいえむよう、舌を抜いてやる」「ま、待って下さい。騙し取ろうなどとたいそれた考えは、け、けっしてなかったんです。直ぐにも返すつもりが、予算が狂ってしまって、ついそのままになっています。なんとか工面をして直ぐにお返ししますから、舌を抜くのはお許しください」「ほんとうにお金を返せるか」「エンマ様まで、騙しはしません」翌日、あたふたと釈王寺を訪た平造が、借りたお金をそっくり返したことはいうまでもありませんが、住職に深く謝罪した平造は、別にいくらかのお金をエンマ堂の建築資金として寄付したということです。

 <><>釈王寺の天狗
 二百八十年前(昭和41年6月当時)の江戸時代に、丹生(現東かがわ市丹生)の大谷に善吉という大工がいました。若い時、三本松で修行しましたが、何を思い立ったのか、大谷の釈王寺の奥の院に、お籠りして祈願しますと、満願の夜、赤い天狗が現れて、善吉に体力と智力をお与えになりました。
 善吉は間もなく、遥々と江戸へ上り五、六年成らずして、江戸でも指折り数える棟梁となりました。
 憎んだのは他の棟梁達です。「田舎上がりの、たたき大工、そんなもんに劣っては、江戸の名おれでえ」と、力みかえれましたが、さて、腕の方はやっぱり善吉に敵わなかったようです。
 ある年、善吉が神社の改築を請け負って、いよいよ明日、大黒柱が建つという前夜、何者のためにか、大黒柱を三寸(約9cm)ばかり切り取られていました。慌てふためいている手下(弟子)の顔を見て、善吉は「何、大黒柱は三寸切り取られて短くなったというのか、棟上げをしょうという今となって、慌てても仕方がない。神仏の助力による他ない」と早速、古代から伝わる儀式による祈願が善吉が祭主として行われました。一同は不思議な目で、どんなことになるかと、固唾をのんで見張りました。
 間もなく善吉の指示によって大釜に沸かした熱湯を、二十間(約36m)もあろうという大黒柱に掛けられ、善吉は呪文を唱えて柱を数回廻って、改めて柱の寸法を計らせたところ、柱は三寸切られたはずなのに、寸法はちゃんと元のようになっていました。手下は勿論、此の話を聞いた江戸の棟梁たちは、いずれもベランメエの舌を巻いて驚いたのみならず、それ以来善吉に、たてつくものなかったそうです。
 この話の本当は、善吉は、このような事があったらと予感があったのか、予め四五寸(約15cm)余分に大黒柱を切ってあったということです。
 善吉の腕もさることながら、智力も優れていたのです。その後、名を成し遂げて故郷の大谷に帰国して百姓となって、ゆうゆう余生を送りました。尚、旦那寺であり、祈願した釈王寺へ、善吉が境内にエンマ堂を造りました。この堂が今に釈王寺に保存されています。
 以上の文は、香川県立図書館蔵『おおち夜話』歴史と民話より転載しました。
 写真は2012年5月23日撮影
 場所はワイワイマップ『伝説・民話・昔話などの残る場所map』にスポット投稿します。

 仁王門
イメージ 1

 本堂
イメージ 2

 不動堂
イメージ 3

 エンマ堂
イメージ 4

イメージ 5

 鐘楼
イメージ 6

 境内
イメージ 7

イメージ 8

イメージ 9