琴電元山駅
 琴電元山駅本屋 香川県高松市元山町 構造:木造平屋建 竣工:明治45年 設計・施行:不明 香川の近
代化土木遺産
 ==沿革
 高松琴平電気鉄道株式会社「元山駅」は明治45年4月30日高松電気軌道の高松・長尾線開通と同時に開業した。 この駅は、春日川西岸の長尾街道(県道10号線)沿いの住宅地に隣接しており、出晴(高松)・高田・平木・
長尾と共に貨物の取り扱い駅でもあった。高松空襲の時、たまたま出晴に停車していた一両が荷物ととも焼失し
たため、この貨物業務を廃止した。
 現在は無人駅となっており、これの伴い駅本屋にも改修が施されている。
 ==建物の概要
 駅本屋は、線路の東側(長尾街道側)に位置する木造平屋建てである。規模は梁間1,5間・桁行3,5間を測る。
 外観は、南京下見張りの外壁をもち、緩い勾配の切妻屋根を載せる。外壁は北面と東面、および旧駅員室外
周の西面に張られているが、西面の大半と南面は開放されており、石積みのプラットホームに直結している。
間取りは、北側1,5間四方が旧駅員室で、南側1,5×2間が待合室となっている。建物の外周および間仕切り下部
には、花崗岩切石の布基礎が据えられる。
 小屋組は和小屋であるが、架構材には角材が使用されている。天井は張られてない。西面には方杖を伴う片
持梁が突き出しており、軒がやや長く下ろされている。片持梁に伴う方杖は直線的だるが、これに直交して桁に結合される方杖は湾曲している。いずれも面取りされており、先端を四角錘形に加工された斜材が取り付けられていることから、この建物を特徴付ける装飾的な要素を構成している。
 この他、装飾的な要素としては、軒先に取り付けられた鋸歯状のバージボード(軒板飾り)がある。また破風の拝み(中央の最も高い地)と木尻(破風板両端)に、先端を丸く加工した懸魚状の繰形が取り付けられている。
 屋根は、昭和45年頃の写真では桟瓦葺であるが、現在は大波スレート葺に改変されている。
 ==まとめ
 元山駅本屋は、小規模で簡素な形態・構造ながら、軒先や破風などに装飾的な要素を有する点が特徴的であ
る。現在は建て替えられた駅舎が木太東口駅(現存)・水田駅・西前田駅・池戸駅・農学部前駅・白山駅・井戸駅(以上は建て替え)でみられた。これらから、元山駅本屋は旧高松電気軌道の主要駅としての仕様を示す建物
であるといえよう。(馬場昭次・事務局)
 参考文献 高松琴平電気鉄道株式会社1989『80年のあゆみ』
 文は香川県立図書館蔵『香川県の近代化遺産』より転載しました。
 写真は2013年1月30日撮影
 場所はワイワイマップ『「駅」「道の駅」「商業施設」「温泉施設」などのMAP 』にスポット投稿します。
 
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破風の拝みに懸魚状の繰形
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鋸歯状のバージボード
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ホームから見た改札口
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旧駅員室
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ホーム
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片持梁に伴う方杖
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片持梁に伴う方杖
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